オジェック監督の失敗した選手管理

さてようやく怒りも鎮まってきたので、まだクラブワールドカップが終わっていないがレッズの今季を振り返る。
今年優勝を逃した原因ははっきりいってオジェックの哲学によるものと断言していいと思う。オジェックは『選手の疲労は48時間で回復する』という哲学を掲げて、ターンオーバーが主流のサッカー界でも敢えて選手を固定した戦い方をしてきた。選手を固定して戦うやり方のメリットは、選手間の連携を取りやすく出来るということだろう。その連携で救われた試合は多くあるし、ギリギリの所でも負けなかったというのはメリットから生まれた結果だと思う。
だが、固定させるやり方はそれ以上にデメリットの方が大きいのではないか。まずはスタメンと控えその他との意識の乖離である。どれだけ練習でアピールしても控え止まりだと果たしてモチベーションが上がっていくだろうか。この点では岡野の存在がいたからこそまだ救われたものの、このようなベテランがいなかったら・・・、今はどうなってただろうか*1。そして愛媛FCとの天皇杯の試合はそんな控え選手が多く出た試合だったが、最後までペースを掴みきれないままズルズルと底なし沼に嵌っていくような感覚に捉われた。私は悪いレッズも目を離さず見ようと思ったが、さすがに2点目決められた後は見ることが出来なかった。そこにいたのはチャンピオンチームのプライドを持った選手ではなく、虎に怯える兎のようだった。もし、選手がそれなりに先発で試合に出場していたら、疲れたら疲れたなりの試合がまだ出来ていたのではないか・・・と今でも思っている。
そして、オジェックの哲学はやはり現代サッカー、とりわけ多くの移動を要するアジアでは通用しない。UEFAなら問題ない距離でもAFCではインフラが整備されないなどの問題が出てくる。その中で多くの日本代表を抱え代表の試合もこなさなければならず、それと同時にACLで多くの移動と苛酷な地での試合をこなしていく。それでどうしてその哲学を今でも掲げているのだろうか。少しでも多くの選手を試合に出して疲労を分散していった方が良かったのではないか。日本代表を多く抱えるレッズではそれが必須だし、そして選手の層もあるレッズがそれを率先してやるべきではなかったのだろうか。
そういえばポンテが怪我をしたという。しかも重傷。来期まで引っ張ってしまうような怪我だという。オジェックは確かに素晴らしい栄冠をチームにもたらしたし、リーグでも2位なのだから解任しろとは言わないが、しかしこの部分を改善できなければ来期、長谷部が既にシエナからオファーが来たあるいは来るのが決定的で、またトゥーリオも来期の夏にヨーロッパ移籍を視野に入れているという噂があるなかで、たとえアレックスや梅崎が加入してもとても安心は出来ない。

*1:岡野は控えの辛さを日本代表で身をもって体験している